「ガスエアコン」という言葉を見かけて、電気で動くエアコンと何が違うのか、疑問に感じたことはないでしょうか。
ガスで冷暖房を行うという発想はあまり馴染みがなく、仕組みや使い勝手をイメージしにくいという声も少なくありません。
なかには、「自宅や実家にあるガスエアコンが古くなってきた」「この先も修理して使えるのか不安」というお悩みを抱える方もいらっしゃいます。
この記事では、ガスエアコンの基本的なしくみから、電気式エアコンとの違い、導入のメリット・デメリット、そして家庭用ガスエアコンが置かれている現状までを、順を追って整理します。
読み終えるころには、ご自宅の空調をどう考えればよいか、判断の手がかりがつかめるはずです。

ガスエアコンとは、ガスを使って部屋を冷やしたり暖めたりする空調システムを指します。
どのような方法で冷暖房をつくり出しているのか、そしてどんな種類があるのか、全体像から確認していきましょう。
ガスエアコンは、一般的な電気エアコンと同じように、冷媒を循環させて熱を移動させることで部屋を冷やしたり暖めたりします。
この熱を移動させる仕組みは「ヒートポンプ」と呼ばれ、電気エアコンと共通です。
違いは、室外機のコンプレッサーを動かす動力にあります。
電気エアコンが電気モーターで動かすのに対し、ガスエアコン(GHP=ガスエンジン・ヒートポンプ・エアコン)はガスエンジンで動かします。
つまり、冷暖房の仕組み自体はほぼ同じで、異なるのは室外機を動かすエネルギー源が「電気」か「ガス」かという点です。
ガスエアコンは、一般的な電気エアコンと同じように、冷媒(れいばい)を循環させて空気中の熱を移動させることで、部屋を冷やしたり暖めたりするエアコンです。
ひとくちにガスエアコンといっても、業務用と家庭用では中身がかなり違います。
| タイプ | 代表例 | 冷暖房の方式 | 現状 |
|---|---|---|---|
| 業務用(GHP) | オフィス・店舗・工場向け | ガスエンジンでコンプレッサーを駆動 | 現在も販売されている |
| 家庭用(ガスエンジン式) | 東京ガス「ガスルームエアコン TOKIO」 | ガスエンジンでコンプレッサーを駆動 | 2004年2月に生産停止 |
| 家庭用(温水暖房併用型) | 東京ガス「TESエアコン」 | 暖房はガスの温水+電気、冷房は電気ヒートポンプ | 2011年3月末に生産終了 |
注意したいのは、家庭に多く設置されてきたTESエアコンが、ガスエンジンで動く機器ではないという点です。
東京ガスは、冷房についてはエネルギー源が電気のみであり、暖房時にガスを併用することで電気使用量を電気エアコンの3〜4割程度減らせる機器だと説明しています。
「ガスで冷房している」と誤解されやすいところなので、ご自宅の機種がどちらのタイプかを押さえたうえで読み進めてください。

ここでは、業務用として現役のGHPと電気エアコン(EHP)を比べていきます。
両者の違いは、室外機のコンプレッサーを何で動かすかという一点に集約されます。
電気式は電気モーターで、GHPはガスエンジンで、それぞれ冷媒を循環させています。
根本の仕組みが違うわけではなく、力の出どころが異なるだけと押さえておくと、両者の違いが見えやすくなります。
動かす力が異なると、料金のかかり方にも差が生まれます。
| 項目 | ガスエアコン(GHP) | 電気エアコン(EHP) |
|---|---|---|
| 動かす力 | ガスエンジン | 電気モーター |
| 主に使うエネルギー | ガス(電気は少なめ) | 電気 |
| 冷暖房のしくみ | ヒートポンプ(共通) | ヒートポンプ(共通) |
| 得意な場所 | 広い空間・大きな施設 | 一般的な住宅の部屋 |
日本LPガス協会は、GHPの消費電力を電気エアコンの約10分の1と説明しています。
そのぶんガスの使用量は増えるため、電気代とガス代を合わせたバランスで考えることが大切です。
ただしこれは業務用機器を前提とした比較であり、住宅の一室に置き換えてそのまま当てはまるものではない点にご注意ください。

「自宅のガスエアコンを、この先も使い続けられるのか」と気にされている方に向けて、現状と今後の考え方をお伝えします。
結論からお伝えすると、家庭用のガスエアコンは、すでに新規の製造・販売が終了しています。
代表例が、東京ガスが1970年代から販売してきた「TESエアコン」です。
東京ガスは2010年3月に終了を告知し、2011年3月末(集合住宅向け「トリオシリーズ」は2013年3月末)をもって生産を終え、以降は在庫限りの販売としました。
ガスエンジン式の「ガスルームエアコン TOKIO」も、2004年2月に生産停止が案内されています。
東京ガスは現在、家庭向けにガスで冷房できる機器は用意がないと明言しています。
これから自宅に家庭用ガスエアコンを新しく設置することは、基本的にできないとお考えください。
姿を消した背景には、いくつかの事情が重なっています。
つまり、家庭用が姿を消したのは市場での競争の結果であり、機器として問題があったからではありません。
冷暖房する空間が大きいほど強みを発揮する方式のため、活躍の場がオフィスビルや店舗、工場へと移っていきました。
ご家庭の買い替えを考えるときは、業務用とは事情が異なる点を押さえておくと判断しやすくなります。
いまお使いの機器が問題なく動いているのであれば、製造終了を理由にすぐ交換する必要はありません。
東京ガスも案内文の中で、使用中のTESエアコンは引き続き利用でき、修理も従来どおり受け付けると説明しています。
ただし、同じ案内文には、修理部品を機種ごとの生産終了から原則10年間保有し、それ以降は在庫限りで対応する旨も記されています。
生産終了が2011年3月末ですから、原則としての保有期間はすでに過ぎている計算になります。
そのうえで、万が一故障した場合には、修理して使い続けるほかに、一般的な電気式エアコンへ入れ替えるという選択肢もあります。
次の章では、まず「修理できるのかどうか」から詳しく見ていきましょう。

故障したとき、修理で使い続けられるのか、それとも交換すべきなのか。判断の基準まで順にご案内します。
製造が終了していても、故障の内容によっては修理で対応できるケースがあります。
比較的対応しやすいのは、次のような不具合です。
これらは機器の心臓部にあたる部分ではないため、部品さえ用意できれば復旧できる可能性があります。
ただし東京ガスは、部品を保有していた場合でも故障内容によっては修理ができない場合があると案内しています。
TESエアコンの修理は東京ガスライフバル・エネスタ・エネフィットが窓口となっているため、まずは症状を伝えて可否を確認するところから始めましょう。
一方で、修理という選択が現実的ではない場面もあります。
これらに当てはまるからといって、いますぐ危険というわけではありません。
直せるかどうかよりも、かけた費用に対してどれだけ安心して使い続けられるか、という費用対効果の視点が大切です。
修理を重ねるより入れ替えたほうが、結果的に負担が軽くなる場面もあると知っておくと、判断に迷いにくくなります。
修理費用は、どこを直すかによって大きく変わります。
| 修理内容 | 費用の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| リモコン交換・設定調整 | 5,000円〜2万円程度 | リモコン故障や操作不具合など |
| 電気系統の修理 | 1万円〜5万円程度 | 基板や電気部品の交換など |
| センサー・制御部品の交換 | 2万円〜5万円程度 | 温度制御などの不具合対応 |
| 冷媒関連の修理 | 3万円〜10万円程度 | ガス漏れ確認や冷媒関連の対応 |
| コンプレッサー・主要部品の修理 | 10万円以上 | 大きな部品交換が必要なケース |
※上記は一般的な目安です。正確な費用は機種や故障内容によって異なり、現地での確認が必要になります。
軽微な部品交換であれば数千円〜数万円程度、主要部品の修理となると十数万円以上になる場合もあります。
金額の幅が大きいぶん、症状だけで判断せず、まずは点検を受けて見積もりを確認することをおすすめします。
同じ故障でも、住まいの状況によって適した対応は変わります。
| 判断の視点 | 修理を検討しやすいケース | 交換を検討したほうがよいケース |
|---|---|---|
| 故障の範囲 | 故障箇所が限定的 | 主要部品にまで及んでいる |
| 使用年数 | 比較的短い | 設置から長期間経過している |
| 部品 | 交換部品を用意できる | 部品の入手が難しい |
| 費用 | 修理費用を抑えられる | 修理費用が高額になる |
| 今後の見通し | しばらく安心して使えそう | 今後も故障リスクが気になる |
この表を参考に、修理か交換か検討するとわかりやすいでしょう。
迷うときは、修理費用と交換費用の両方を出してもらい、比べたうえで決めると納得感が高まります。
次の章では、ガスエアコンから電気エアコンへ交換する場合の費用や工事内容を解説します。

現在使用している家庭用ガスエアコンを、一般的な電気式エアコンへ交換する場合、どのようにすればよいのでしょうか。
交換の流れや費用について解説します。
家庭用ガスエアコンは、一般的な電気式エアコンへ交換できます。
TESエアコンの場合は、暖房に使っていた温水配管を止めたうえで、電気式エアコンの設備へ切り替える工事になります。
このとき撤去するのは温水配管であって、ガス配管ではありません。
熱源機(給湯器)は給湯や床暖房でも使われているため、多くのお宅ではそのまま残ります。
なお温水管の水抜き(温水止め)は、お客さまから東京ガスへ連絡し、ガス会社側が行う流れが一般的です。
使わなくなった温水管には栓をして、壁の中に納めるといった処理を行います。
交換にかかる費用は、いくつかの工事の積み上げで決まります。
| 工事内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| ガスエアコンの撤去 | 1万円〜3万円程度 |
| 電気エアコン本体+標準取付工事 | 10万円〜30万円程度 |
| 電源工事(必要な場合) | 1万円〜5万円程度 |
| 配管・配線など追加工事 | 数万円程度 |
| 温水配管・設備の撤去処理 | 状況により変動 |
※上記は一般的な目安です。機種・設置環境・追加工事の有無によって費用は変わります。
撤去時には別途、家電リサイクル料金がかかる場合があります。
とくにTESエアコンは壁掛け形・天井埋込形・床置形など種類が多く、隠ぺい配管であることも珍しくありません。
そのため、上の表に収まらないケースは十分にあり得ます。
表の数字は全体像をつかむための目安と受け止め、予算を固める段階では必ず見積もりを取って確認しましょう。
実際の工事は、次のような手順で進んでいきます。
見積もりの提示は、1〜3の段階を経てからになります。
流れを把握しておけば、どの時点で何を決めればよいかが分かり、業者とのやり取りもスムーズに進みます。
見積もりの前に知っておきたい注意点を挙げておきます。
こうした条件は図面や写真だけでは判断しきれず、実際に見てもらう必要があります。
ガスエアコンの交換を検討する場合は、現在の設置状況によって最適な方法が変わるため、現地確認を受けたうえで判断することが大切です。

ガスエアコンは、ガスエンジンの力を使って冷暖房を行う空調システムです。
ここまでの内容を、要点として振り返ります。
住まいの空調でお困りのときや、古いガスエアコンの交換を考える際は、無理に自己判断せず専門の業者に相談することで、住まいに合った方法を見つけやすくなります。
東京・多摩エリアで給湯器や水回りを含む住宅設備の修理・交換・リフォームを手がける株式会社田島では、設置環境の確認から工事まで一貫して対応しています。
エアコンの入れ替えや、住まいの設備に関するお困りごとがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。